SEO を左右するものは、Web サイトに直接関係する要素だけとはかぎりません。検
索エンジンには、時と場合によって検索結果を変化させるアルゴリズムも含まれる
からです。QDF と QDD というアルゴリズムを例に解説します。

  • 話題性のあるキーワードでは新鮮な情報が評価されやすい
  • Googleトレンドで話題性のあるキーワードが調べられる
  • 多様性のあるキーワードも検索順位を左右する

QDFとは?

内部対策はもとより、これまでに解説してきた外部対策は、被リンクを中心とした、Webサイトと直接の関係がある要素に関するものです。こうした要素を最適化しておけば、当然ながら検索エンジンでの検索結果でWebサイトをより上位に表示することができるでしょう。しかし、検索順位に影響を与える要因は、何もWebサイトと直接の関係がある要素だけではありません。たとえば、検索エンジンのアルゴリズムによって、Webサイトの検索順位が予期せず変動することもあるのです。その代表的なものとして、まずはGoogleの「QDF」を紹介します。

 
QDFとはQuery Deserves Freshnessの略であり、「鮮度に見合った検索クエリ」という意味です。その名のとおり、情報の鮮度によって、検索結果を決定するアルゴリズムです。ここでいう鮮度とは、主に話題性に対する鮮度を意味するものであり、時事的な情報や、旬のトピックに対して新鮮なWebサイトほど、Googleの検索結果でより高く評価されることになります。
 
たとえば、大きな地震が起こった直後であれば、地震に関連したより新しいコンテンツを持つWebサイトなどがより上位に表示されやすくなります。また、スキャンダルなどでにわかに注目を集めている芸能人がいる場合は、その芸能人にまつわるより新しいコンテンツを持つWebサイトがより上位に表示されやすくなります。ユーザーは、こうした話題性の高いトピックについて検索する場合、そのトピックの最新情報を求めていることが多いものと考えられるため、Googleはこのようなアルゴリズムを採用しているのです。

QDFを応用したSEO対策

そのため、話題性の高いトピックをすばやくコンテンツに反映させることができれば、瞬発的にWebサイトを上位に表示させ、ユーザーの流入を高めることが可能になるといえます。SEO対策の一環として、話題性のあるトピックを、折に触れてコンテンツに盛り込むことを検討しましょう。話題性の程度によっては、ビッグワードでWebサイトが検索結果の上位に表示される場合よりも、多くの流入ユーザーを獲得することができるでしょう。
 
どのようなトピックが世間で話題を集めているかを調べるためには、Googleトレンド(https://www.google.co.jp/trends/)を活用するとよいでしょう。
googleトレンドのトップ画像
Googleトレンドのトップページでは、話題のキーワードがランキング形式で一覧表示されています 。画面右上の「日本」や「すべてのカテゴリ」をクリックすることで、地域やカテゴリを選択してキーワードを絞り込むことも可能です。また、トップページの一覧でキーワードをクリックすると、「人気度の傾向」グラフで、そのキーワードの人気度の推移を詳細な時間軸で確認することができます。
googleトレンドの詳細ページ
このグラフが右肩上がりであれば、その後も話題性が継続するものと考えられるでしょう。トピックがニュース記事として扱われた量もグラフ上に灰色で表示されるため、あわせて参考にしましょう。
なお、特定のキーワードの人気度を調べたい場合は、画面上部の入力欄に任意のキーワードを入力して調査しましょう。より長期的なスパンでの人気度を確認することができます。

鮮度ばかりに注目しない

ここで注意しておきたいのは、検索エンジンは必ずしも情報の鮮度の高さでWebサイトを評価しているわけではない、ということです。特別な話題性があるわけではないキーワードにおいては、更新頻度や鮮度ではなく、あくまでコンテンツ自体の品質が重視されます。
 また、トピックとWebサイトのコンテンツとの関連性も重要です。Webサイトの本来の内容と乖離したトピックをあれこれといたずらに盛り込んだとしても、ユーザーは違和感を覚えるだけです。最悪の場合、Webサイトに対する信用が失われてしまうでしょう。
 
こうした理由から、話題性のあるトピックばかりをむやみに追いかけ回し、刹那的な上位表示ばかりを狙うことは得策ではないといえます。あくまでWebサイト自体のコンテンツを充実させたうえで、そのコンテンツと関連性のあるホットなトピックを、適度なリズムで取り上げていきます。

QDDとは?

検索結果におけるWebサイトの表示順位を左右する、Webサイトと直接の関係がない要素は、QDFだけではない。類似した名称の「QDD」というGoogleのアルゴリズムもまた、時と場合によってはWebサイトを上位に表示させてくれます。
 
QDDとはQuery Deserves Diversityの略であり、「多様性に見合った検索クエリ」という意味です。ここでいう多様性とは、ユーザーが検索するキーワードの持つ多様性のことです。キーワードによってはさまざまな意味、すなわち多様性が含まれるため、検索エンジン側もユーザーが求めているWebサイトが一概には絞り込めないことがあります。そういった場合に、ユーザーのニーズをむやみに推し量って絞り込むのではなく、あえて幅広い解釈で選択肢を提供することによって、ユーザーの求めるWebサイトが見つかりやすくするアルゴリズムです。
 
たとえば「ブロック」というキーワードが検索された場合のことを考えてみましょう。このブロックという言葉は、建築資材としてのコンクリートブロックを意味することもあれば、LINEなどに代表されるSNSでのブロックを意味することもあります。また、おもちゃのLEGOブロックという意味も含まれるでしょう。このように複数の意味を持つキーワードが検索された場合、さすがの検索エンジンもユーザーの求めるニーズを適切に読み取ることはできません。そのため、特定の「ブロック」に関するWebサイトを絞り込むのではなく、Googleはあえていろいろな意味の「ブロック」に関するWebサイトを提示しようとするのです。
ブロックでの検索結果
実際にGoogleで「ブロック」というキーワードを検索すると、最上部にはLINEのブロックに関するWebページが掲載されているが、3番目にはおもちゃのブロックに関するAmazonのWebページが掲載されています。そのほか、建築資材のブロックや、地域を意味するブロック、ブロックという言葉が含まれる企業のWebサイトなども掲載されています。このように多岐にわたる候補を用意しておけば、ユーザーが求めるものが見つかりやすくなります。

QDDによる影響と対策

キーワードによってはこうした多様性のある検索結果が表示されることになるため、あらかじめWebサイトがターゲットとするキーワードを実際にGoogleで検索し、どのようなWebサイトが表示されるのかをしっかりと把握しておくことが大切です。QDDによって通常よりもWebサイトが上位に表示されるような場合であれば問題ありませんが、反対に余計な競合サイトが増え、検索順位が下がるようであれば、ターゲットとするキーワードを見直すことも検討しましょう。