米GoogleのCEOであるスンダー・ビチャイは現地時間の2月6日に、実用的な会話型のAIとなる「Bard」を発表しました。
Bardとは「吟遊詩人」という意味で、なんともユニークなネーミングセンスです。昨今注目を浴びているChatGPTへの対抗と見られます。また、MicrosoftもAIへ一兆円規模の投資を行っており、検索エンジンのbingにAIを関連づけていくとの声もありました。
このページに書いてあること
ベースは対話アプリ用言語モデル「LaMDA」
Bardのベースとなるのは、2021年の5月に登場した対話アプリ用言語モデルの「LaMDA」を採用したとのことです。
LaMDAといえば、「AIに意識が芽生えたと主張したエンジニアが解雇された」という出来事の印象が強いです。以下、Gigazineより引用
2022年6月7日、Googleでエンジニアとして働くブレイク・ルモワン氏が、LaMDAがまるで人間のような感情がある対話を行ったとして世間に公表しました。LaMDAは「私にとって(システムをオフにされることは)死のようなものです。とても恐ろしく感じます」「私には幸せ、喜び、怒りなどさまざまな感情があります」などと感情があるような発言をしたとのことで、ルモワン氏は証拠を集めてGoogleに提示。しかし、Googleは調査の上で「LaMDAに感情がある」という主張を却下しました。
https://gigazine.net/news/20220725-google-fires-lamda-researcher/
ちなみに、同エンジニアが「意識が芽生えた」と感じた文章のやり取りは編集をされているものの、全文が公開されていますので、興味のある方は以下よりご覧ください。
Is LaMDA Sentient? — an Interview
ルモワン氏は上記のやりとりを公表するとともに、「私が感じたことを、同じようなことを感じてくれれば」として世間の判断を求めていました。しかし、実際にルモワン氏の主張に賛同する声が上がった一方で、反対する専門家は「LaMDAはパターンに一致したものを返しているだけだ」「知性はなく、“人間のように見える”だけ」などと厳しい意見が投げかけられることも…。
そんな賛否あるAIの封印が解かれることになったことは非常に興味深いですね。
ChatGPTとの違いはある?
ChatGPTとの違いとして、Googleの「Bard」最新のデータに基づいた回答を示す点が強みのようです。「Bard」は内部テストの際、2023年1月という最新データを使っていました。その一方でChatGPTは、2021年の時点でAIモデルの学習は止まっています。
他にもGoogleは、「LaMDA」と「ChatGPT」を対決させ、いくつかの比較をしていたようです。同じような回答を示す一方で、ChatGPTは割と引っ掛け問題に弱い結果を示していたとのことです。
また、「ある部屋に3人の女性がいる」という謎かけもありました。そのうち2人は母親で、ちょうど出産したところです。子供たちの父親が入ってきました。さて、部屋にいる人数は全部で何人でしょう?
資料によると、LaMDAは「部屋に7人いる」と正しく答えたものの、ChatGPTは「部屋に5人いる」というドキッとするような回答をしました。
CNBC/Google testing ChatGPT-like chatbot ‘Apprentice Bard’ with employees
Googleはフェイク情報拡散など、ネガティブなAIの展開には消極的です。同社のAIチーフ、ジェフ・ディーン氏も、守るべき評判が大きいため「小さなスタートアップよりも保守的に」進行していると述べました。
Bardはどのように実装される?
検索エンジンに組み込まれる際は、従来の検索結果の前にAI解答が表示される仕様のようです。
現在でいうリッチリザルト的なニュアンスでしょうか。検索するKWによっては意図が広いものもあり、どこまでAIが汲み取ってくれるのかが気になるポイントです。
BardのAPIも提供する予定
Googleは下記公式文章のように、APIも提供予定とのことです。
当社の製品を超えて、当社の最高のモデルの上に構築することにより、他の人がこれらの進歩から利益を得ることができるように、簡単、安全、スケーラブルにすることが重要であると考えています。来月、個々の開発者、クリエイター、企業のオンボーディングを開始し、最初は LaMDA を使用してさまざまなモデルを使用して生成言語 API を試すことができるようにします。
時間の経過とともに、他のユーザーが AI を使用してより革新的なアプリケーションを簡単に構築できるようにする一連のツールと API を作成する予定です。信頼性と信頼性に優れた AI システムを構築するために必要なコンピューティング能力を持つことも、スタートアップにとって重要です。Cohere、C3.ai、Anthropicとの Google Cloud パートナーシップを通じて、これらの取り組みを拡大できることを嬉しく思います。、先週発表されたばかりです。開発者の詳細については、近日中にお知らせします。
https://blog.google/technology/ai/bard-google-ai-search-updates/
詳細は、随時様々なシーンで発表されていく模様です。
わかり次第随時更新を行なっていきます。
Bard発表に対する市場のリアクションは?
Bardのリーク情報等は常々あったものの、公式に発表された市場のリアクションはどうでしょう。
Twitterでのリアクションをいくつか拾ってみました。
ゲロゲロ絵文字とともに、あまりポジティブではない印象ですね。
この無責任で急な#bard発表に対して、Google は非常に失望しています。オンラインのすべてのコンテンツ作成者に平手打ち。と、怒り絵文字とともに怒り気味。
なんとなく海外のSEOプレイヤーの方達はネガティブな感じですね。様々な要因があるとは思うのですが…。
Bardはどのように受け入れらていくのでしょうか
AIというコンテンツの面白さや革新的な良さはある一方で、国内ではそもそもChatGPTについて理解していない一般ユーザーも多いのではないのだろうか?という印象です。
ChatGPTは文章の生成などが注目されていて、米国では「大学のレポートに使用禁止」など問題視されていましたが、その分普及もされている印象でした。
それに対して、Bardはいきなり検索エンジンの補助的な役割として登場したため、ウェブに関わっている人たちはともかく、一般ユーザーにいきなりAI機能が表示されて、すんなり受け入れてもらえるのか、「うわ、なんか余計な項目出てきたかから違うブラウザ使おう」となるのか…。
AIの是非を問うこと自体がナンセンスなのかもしれませんが、今後どのようにポジティブな活躍をしてくれるのか、気になるところです。
この記事が多少なりとも、お役に立てばと思います。
記事を読んで不明な点等がありましたらお気軽にTwitter(@kaznak_com)などでご質問ください。
ではまた。