SGE(Search Generative Experience)は米国で2023年6月と早い段階でプレビュー版がリリースされていました。

そして、ついに日本国内でも2023年8月30日にテスト版として提供が始まりました。

さまざまな使い方をしてみたので、記事に起こしていきます。

そもそもSGEとは

SGEは、生成AI(GenerativeAI)と検索(Search)の融合バージョンとして、2023年の5月のグーグルI/Oにて発表されました。

イメージとしては、Microsoftが2023年2月にリリースしたもの新bingと同じです。
こちらでも詳しく解説しています。

https%3A%2F%2Fcocorograph
favicons?domain=cocorograph Microsoftが次世代OpenAIモデル採用の新Bingを発表!実際に使ってみた様子も紹介
2023年2月6日(現地時間)に、米GoogleがLaMDAを取り入れた会話型AIサービスのBardを発表しました。 そんなGoogleに引き続き、米Microsoftは2月7日(現地時間)、米OpenAIの次世代大規模言語モデル採用の「新しいBingとEdge」を発表しました。

5f740e459aa5b3d01b77c6bff0e27b9b

検索クエリに対応した回答を、AIが生成してくれて検索結果のトップに表示してくれます。おそらく引用元のサイトが複数(5〜)表示され、クリックするとそれぞれのサイトの引用部分に飛びます。

eb60a9f151e51d9f01e2d6c8e4738311

右上の小さなアイコンボタンを押すと、回答部分に用いられている引用に切り分けて表示されます。

626b8d6d730d1931680211d96a8111b0

リスティング広告が出稿されている場合は、広告が最上部に表示され、その下にAIの回答が表示されます。

もはや、検索結果は遥か下になっていますね。1ページ目に入っていても。9〜10位のサイトまでスクロールされる割合が減りそうです。

クエリによっては「AIによる概要を生成しますか?」と尋ねられるケースもあり、クリックすることでAIが回答を生成してくれるケースがあります。

また、クエリによってはAIの回答が表示できない場面もありました。

YMYL系のクエリでも回答してくれる

1e64f1a67c3f4abc9115d253c55786a7

YMYL系のクエリでも問題なく回答を生成してくれました。

a88951b38103d4722c4a82ec14ffba96

ただし、YMYL系のクエリでは最後に一言コメントがついており、

医療的なテーマの場合「これは情報提供のみを目的としており、医療上のアドバイ椅子や診断を行うものではありません。」

金融系の場合は「これは専門的な金融アドバイスではありません。特定の状況については、金融アドバイザーに相談することをおすすめします。」

などと注意が入ります。

米国のSGEと異なる点

米国では先行して提供が始まっているため、さまざまな点で表示方法等に差があります。
具体的なイメージは、米国verも試されている鈴木謙一氏のブログ記事を参考にしてください。

例えば、ショッピング系のクエリであれば、購入可能なスナップショットが表示されています。

また、アパレル系のクエリであれば、タイル上に一覧表示されています。

国内のSGEも時間とともに米国verと同じような表示になっていく模様です。

来年には正式版をリリース?

日本は来年の2月までで、米国は年内いっぱいで終了する模様でした。

鈴木謙一氏のpostより

2023年10月追記:SGEを実際に使ってみて

SGEが実装され、約1か月。

しばらく個人のアカウントではSGEをオンにして、使用してみました。

いくつか感じたことがあるので、書いておきます。

SGEの感想1.基本的にはシンプルで便利

「〜とは」「〜の魅力」など、ある程度決まりきった回答が用意できるクエリには非常に便利に感じました。数サイトの回答を抜粋して、美味しい部分だけ整理してくれるので、シンプルに便利で楽です。

また、上記のような回答が難しいテーマでない限り、ハルシネーション(それっぽく語られているが誤っている回答)も起こりづらいため、安心して使えるのではないかと感じます。

ただ、比較系のテーマやアフィリエイターに汚染されているテーマでは、そもそもほとんどのサイトが偏った回答をサイトに表記しているため、偏った回答になりそうな懸念があります。

SGEの感想2.めちゃくちゃCTR下がりそう

従来、Googleはクリックをさせないような工夫として、「リッチリザルト」や「他の人はこちらも〜」的なUIを多く実装してきました。検索エンジンと向き合っている現場の人間としては、「いやあ、いうてもサイトに入らないと本質的な情報は分からないし、CTR変わらんだろう」なんて思ってました。

ただ、SGEの思い切り使うようになってみると、サイトに入らないで客観的な回答(複数サイトの意見をまとめたものを客観的な回答と表現しています。)を得られるので、ふとした疑問程度ではクリック・サイト訪問の数が顕著に減った自覚があります。

一般ユーザーが、当たり前のようにSGEを活用し始めるとCTRは顕著に下がるんじゃないかなと感じます。

SGEの感想3.アルゴリズムでなくUXとして表示速度がシビアになりそう

SGEを使い始めたことで、サイトをクリックした際の表示速度やストレスを、今まで以上にシビアに感じるようになりました。(特にスマホ)

SGEが実装されたことで、

サイトに訪問 > 読み込みの時間+情報を自分で探す・整理する時間
SGEを使用 > サイト訪問時の読み込みの時間だけで、整理された回答が表示される

のような差を顕著に感じるため、サイトがスムーズに読み込まれれば良いのですが、

  • 微妙に描写に時間がかかっている
  • 描写のズレ
  • 画像の読み込みに時間がかかる

によって、少しでもストレスを与えてしまうと、「このサイト、遅いからSGEの回答の方が良いや…」みたい離脱やCTR現象に繋がりやすいのではいかなと感じました。

SEOコンサルとして微妙な意見ですが、アルゴリズムのためにPSIやライトハウスのスコアアップを狙うよりも、「とにかく体感値としてどれだけ早いか?」に焦点を当てる方が、本質的なUX改善にもつながる気がします。(スコアをおろそかにして良いわけではありません)

SGEの感想4.YMYL系のテーマや明確な回答がないテーマは難しい

これも当たり前なんですが、YMYL系の「一概に難しい」といったテーマに関しては、欲しい回答がスムーズに返ってこないケースが多いです。

例えば、「ランニングは、食後と食前どちらが良い?」など、目的によって選択肢が全て正解なケースもあるため、YMYL系のようなテーマでは引き続き自身での判断や、参考程度にとどめるといった意識が必要になるでしょう。

今後の更新にも期待がかかるSGE

鈴木謙一氏の記事を読んでいると、米国版ではショッピング系のクエリなどのUIを始め、まだまだアップデートの余地が多々ある模様です。

他の検索クエリに対して、どのようにアプローチをかけていくべきなのか、SEO担当者も広く知見が求められるシーンとなりそうですね。

この記事が多少なりとも、お役に立てばと思います。
記事を読んで不明な点等がありましたらお気軽にTwitter(@yosuke58enji)などでご質問ください。

中村にもお気軽にTwitter(@kaznak_com)などでご質問ください。