ペナルティを受けるリスクを避けて外部対策を行うには、不自然ではない自然な
外部リンクを獲得していく必要があります。自然なリンクを獲得するさまざまな方法が
あるので、それぞれのポイントを見ていきましょう。

  • メールではユーザーに特別感を感じさせる
  • サテライトサイトでメインサイトに誘導する
  • ソーシャルボタンの設置でシェアしやすくする

難しくなった外部リンクの獲得

検索エンジンでの表示順位を上げるために、外部サイトからのリンクを獲得することがどれだけ有効であるかは、これまでの解説で理解できたでしょう。しかし、検索エンジンは日々進化しており、かつて効果があった外部リンク施策の多くが無意味になっています。そればかりか、反対にペナルティの対象となっているものもあります。とくに、ペイドリンク(CHAPTER 2-01参照)の利用は、明確にGoogleのガイドライン違反であり、リンクを販売している側も購入している側もペナルティを受ける可能性があるため、十分に注意しなければなりません。
 
実際に、ニュースサイトにリンク付きのPR記事を掲載していたWebサイトが、規約違反とみなされて順位を大幅に下げられたり、不自然なリンクを販売していたWebサイトがページランクをゼロにされたりと、厳しいペナルティが相次いでいます。まったく抜け道がないわけではないが、ペイドリンクを売る業者や、リンク付きのPR記事を掲載する業者などには関わるべきではありません。あくまで自然な外部リンクの獲得を心がけましょう。

質の高いコンテンツを作ろう

今やSEO対策は、量より質の時代です。コンテンツとの関連性がないリンクを大量に貼り付けただけのWebサイトよりも、良質なコンテンツを提供し、ユーザーから自然なリンクを集めているWebサイトのほうが、検索エンジンから評価されるようになっていきます。
 
これまでにもくり返し解説してきましたが、検索エンジンは基本的に、ユーザーにとって役に立つ情報が、検索エンジンにわかりやすい構成で記述されていることを基準として、Webサイトの順位を決定しています。ユーザーが求めている情報がすばやく表示されない検索エンジンは、ユーザーにとって利用価値がありません。Webサイトをユーザーが望むような順位で表示させられるかどうかは検索エンジン側にとって死活問題であるため、ユーザーが満足できるようなコンテンツや、それによって発生する自然なリンクを評価する傾向は、今後も続いていくでしょう。
 
そのためまずは、ユーザーからの自然なリンクを集められる、質の高いコンテンツ作りが欠かせません。ただしここで気を付けたいのは、人間から見て「おもしろい」、「ためになる」と思われるコンテンツが、そのまま検索エンジンからも質が高いと判断されるわけではないということです。なぜなら、いかに優秀な検索エンジンのアルゴリズムであっても、やはり人間が判断するようにはコンテンツの内容のよし悪しを判断できないからです。せいぜい、「検索キーワードに関連するコンテンツが掲載されている」、「情報がわかりやすく整理されている」といったレベルのことがわかるにすぎません。そのため、検索エンジンから評価されるコンテンツを作るには、それなりのテクニックが必要になります。
コピーコンテンツは嫌われる
別サイトからコピーしたコンテンツや、同じ文章の使い回しなどは、検索エンジンに嫌われてしまいます。反対に、独創性がありユーザーに有益な情報を提供するコンテンツは、ユーザーの訪問を促進し、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)でのシェアも増え、検索エンジンから高い評価を受けることができます。充実したコンテンツ作りの詳細については、コンテンツマーケティングを中心に解説しているCHAPTER 3を参照してください。いずれにしても、人間からの評価と検索エンジンからの評価の両方がそろってこそ、SEO的に質の高いコンテンツといえるのです。

メールを活用した訴求

SEOの外部対策として、自然なリンクを多く獲得するには、やはり自社サイトへのユーザーの流入を増やさなくてはなりません。流入を増やすために、検索エンジンの検索結果ページでの表示順位を上げることはもちろん大切だが、競合の多いキーワードや分野だと、なかなか一朝一夕にはいかないものです。
 
そこで取るべき対策の1つとして、既存のユーザーのWebサイトへの再訪問を増やすことを取り上げます。ユーザーに再訪問してもらうには、常にユーザー目線に立った新鮮で有益な情報を更新し続ける必要があります。そうしたコンテンツが常に掲載されているという認識が広まれば、ユーザーは自発的にサイトを再訪問してくれるようになるものです。しかし、そうしたよい流れを築くこともまた、一朝一夕にはいかないでしょう。まずは、どういう有益なコンテンツが発信されているのかを、ユーザーに知ってもらうことから始めなければなりません。
 
ユーザーとコミュニケーションを取る方法として昨今注目されているのは、FacebookやTwitterなどのSNSです。日本の国内企業でも、WebサイトとともにSNSの担当者を置いて、積極的にコンテンツ更新を図るところも増えてきました。しかし、ターゲットとなるユーザー層や商材の種類、販売方法によっては、SNSよりもメールを使った販促のほうが効果的となる場合もあります

ユーザーに特別感を与えるメール
一般的には、メールマガジンを使ってユーザーにいっせいに通知することになりますが、このとき、タイトルや宛名に各ユーザーの個人名を入れるなどすると、ぐっと「特別感」が増して開封率が上がるという例もあります。細かい戦略のように思えるかもしれないが、ユーザーに効果的にアピールするためには、「その他大勢」ではなく「オンリーワンのお客様」であるという認識をユーザーに持たせるように心がけましょう

サテライトサイトを活用しよう

自社で運営している本来のWebサイトとは別に、SEO対策などのために立ち上げられたWebサイトのことをサテライトサイトといいます。サテライトサイトはさまざまな活用が可能だが、多くの場合、メインサイトへのリンクを貼ることでユーザーの流入を増やし、検索エンジンでの表示順位を上昇させるために作成されます。検索エンジンがコンテンツ重視の姿勢を打ち出している昨今、サテライトサイトの活用は、SEO対策で重要なポイントになります。

サテライトサイトの具体例

たとえば、住宅ローンの申し込みをコンバージョンとしているメインサイトがあるとします。当然ながらこの場合、住宅ローンの申し込みを検討している人たちをメインサイトに呼び込みたいのです。しかし、「住宅ローン」という検索キーワードは競合が多く、検索エンジンでWebサイトを上位に表示させるのは容易ではありません。
 
住宅ローンの申し込みは、多くの人にとって人生の一大イベントとなるはずです。そのため、住宅ローンに申し込みたいと考えている人は、事前にある程度の知識を得ようとするでしょう。そのような人は、「住宅ローン ポイント」、「住宅ローン 選びかた」などといった、ある程度絞り込んだキーワードで検索をかけ、住宅ローンに関する知識を教えてくれるWebサイトを探すものと思われます。そこで、メインサイトとは別に、住宅ローンの予備知識などを知らせるサテライトサイトを立ち上げることが有効になるのです。
サテライトサイトに誘導する
そのサテライトサイトで住宅情報の知識をわかりやすく解説するとともに、メインサイトを紹介して誘導すれば、見込み客をメインサイトのユーザーとすることができる
でしょう。

メインサイトへの誘導がいちばんの目的

このように、サテライトサイトを立ち上げるいちばんの目的は、検索エンジンでのSEO対策ではすくいきれない見込み客を獲得し、メインサイトに誘導するという点にあります。自社が提供する商品やサービスに関わるさまざまな情報を掲載したり、コミュニティサイトを立ち上げたりして、自社の見込み客にとって有益な情報が得られるサテライトサイトを複数持つことで、メインサイトに対する認知やアクセスが高まることが大いに期待できるのです。
 
また、サテライトサイトをメインサイトとは別のドメインに設置し、そこからのメインサイトへリンクを貼ることでメインサイトの被リンクを増やせば、SEO効果を向上させることにもつながります
 
なお、サテライトサイトからメインサイトへリンクを貼るだけでなく、メインサイトからサテライトサイトへのリンクを貼れば、相乗効果が期待できます。

SNSでの露出を高めよう

Webサイトへのユーザーの流入を増やすために、検索エンジンへのSEO対策とともにすべき施策は、FacebookやTwitterなどのSNS上での露出を高めることです。SNSを活用することで、Webサイトの情報を検索エンジン経由以外でユーザに届けることが可能になり、見込み客の獲得がしやすくなります。とくに、ひとたびコンテンツが評価され、拡散の連鎖によりSNS上で人気となる(バズる)と、多くのシェアや「いいね!」が獲得でき、自社サイトへのユーザーの流入も爆発的に増えることになります。

ソーシャルボタンの設置

多くの場合、情報配信コンテンツなどにソーシャルボタンを設置することで、記事を読んだユーザーからシェアや「いいね!」をもらえるように誘導します(CHAPTER 2-05参照)。クリック1つで共有できるようにしておけば、よりかんたんに拡散の連鎖が起きやすくなるからです。

ソーシャルボタンの設置例もちろん、ユーザーが仲間とシェアしたいと思えるコンテンツを用意することも欠かせません。

人気を得やすいコンテンツとは?

一般的にSNS上で人気を得やすい記事は、「誰かに教えたい!」という気持ちにさせる記事だといわれています。お得な飲食店の情報やキャンペーン情報なども、誰かに紹介したいという気持ちを引き起こすものだが、ビジネスに直接関係するものばかりがよいともかぎりません。

たとえば、目からウロコの裏ワザや、思わず涙してしまうような感動ストーリー、有名人の名言なども効果的なコンテンツとして挙げられるでしょう。中でも、子どもや動物が登場する動画は幸せや愛情を感じさせる内容であることが多く、感動系コンテンツの定番といえるため、状況によってはぜひ活用したいですね。反対に、人々の正義感をかき立てたり、憤りを引き起こすような、マイナスの内容を含んだコンテンツもバズりやすいとされています。また、「こんな情報を知っている私、すごいでしょ」という具合に、知っていることに優越感を感じられるコンテンツも効果的でしょう。
 
こうして書き並べると一見かんたんそうに見えるものですが、対応を一歩間違えれば「炎上」につながりかねない危険性をはらんでいるのがSNSです。SNSで適切にコンテンツを拡散させるのは、それほどかんたんではありません。しかし現在、SNSでの露出は、被リンクを多く集めるSEOの外部対策にもっとも効果的だといわれているほどです。CHAPTER 2-04を参考に、ぜひ積極的に活用していきたいですね。