
「Share of Model(SoM)って何?どうやって測るの?」——そんな疑問を持つWebマーケター担当者や個人事業主の方に向けて、この記事では SoM の基本概念から、ChatGPT・Perplexity・Gemini など11のAIエンジンを使った並列測定テンプレートの使い方まで、すぐに実践できる形でわかりやすく解説します。テンプレートをそのまま活用して、自社ブランドのAI上での露出状況を今日から把握してみましょう。
Share of Model(SoM)とは何か?AI時代の新しいブランド露出指標をわかりやすく解説

SoM(Share of Model)は、AIが回答を生成するときに自社ブランドがどれだけ「選ばれているか」を示す指標です。検索エンジンの順位とは異なる概念で、AI時代のブランド戦略を考えるうえで欠かせない視点になっています。
Share of Modelの基本的な意味
Share of Model(SoM)とは、ChatGPTやGeminiなどの生成AIが何らかの質問に回答するとき、その回答の中に自社のブランド名・製品名・サービス名がどのくらいの割合で登場するかを示す指標です。
たとえば「SEOツールのおすすめを教えて」というプロンプトを10回投げたとき、自社ブランドが8回言及されれば、そのエンジンにおける SoM は80%、といった具合に数値化できます。
AIが「当たり前の選択肢」として自社を挙げてくれるかどうか——それを測るのが SoM の役割です。
従来のShare of Voice(SoV)との違い
Share of Voice(SoV)は、テレビCMや検索広告などの「広告露出量」の中で自社が占める割合を示す指標です。メディアやプラットフォーム上の可視性を数値化するという意味では SoM と似ていますが、測定対象がまったく異なります。
SoV が「どのくらい広告・コンテンツが表示されたか」を見るのに対して、SoM は「AIが能動的に自社ブランドを選んで回答しているか」を見ます。AIは広告を表示するわけではなく、学習データや信頼性を元に自律的に情報を選んでいるため、SoV の考え方だけでは追い切れないのです。
指標 | 測定対象 | 主な媒体 |
|---|---|---|
Share of Voice(SoV) | 広告・コンテンツの露出量 | 検索・SNS・テレビなど |
Share of Model(SoM) | AIの回答内での言及率 | 生成AI・AI検索エンジン |
なぜ今、Share of Modelが注目されているのか
ChatGPTのユーザー数は2024年時点で週間アクティブユーザーが1億人を超え、Perplexity AIも急速に利用者を増やしています。これだけ多くの人がAIに「おすすめは?」「どれがいい?」と聞くようになると、その回答に登場するかどうかが購買や問い合わせに直結し始めています。
Google検索の順位を上げることに注力してきたこれまでのSEO施策だけでは、AI経由の集客機会を把握・改善できません。だからこそ、AI上での自社ブランドの存在感を定量的に捉える SoM という指標が、Webマーケティングの現場で注目を集めているのです。
ChatGPTやPerplexityで自社ブランドが「言及されること」の価値
AIの回答に自社ブランドが登場することは、いわば「AIによる推薦」です。ユーザーは検索結果の一覧から自分でクリックして選ぶのではなく、AIが「これがおすすめ」と提示した情報をそのまま受け取る傾向があります。そのぶん、言及されたブランドへの信頼感や検討意欲は高くなりやすいです。
また、Perplexityのようなリンク付き回答を返すAI検索では、言及されると同時に自社サイトへのトラフィックが発生することもあります。つまり SoM の向上は、ブランド認知と集客の両方に直結する可能性を持っているわけです。
Share of Modelを測定すべき理由|AI検索時代にブランド露出を把握しないリスク

「AIのことはよくわからないし、まだ様子見でいいかな」と感じている方も多いかもしれません。でも、競合がすでに動き始めているとしたら?ここでは SoM を測定しないことで生じるリスクを整理します。
AI検索エンジンが購買行動に与える影響
ユーザーの情報収集の入り口がAIに移行しつつある中、購買行動のプロセスも変化しています。従来は「Google検索 → 複数サイトを比較 → 購入」という流れが一般的でしたが、今は「AIに質問 → AIの回答を参考に検討 → 購入」というルートが増えています。
この変化において、AIの回答に登場するブランドは比較検討の土俵に上がれますが、登場しないブランドは最初から候補外になってしまいます。特にBtoB領域では、担当者がAIで情報収集してから上司に提案するケースも増えており、SoM の低さがそのまま商談機会の損失につながりかねません。
SEOだけでは追えなくなった「見えないブランド露出」
Google Analytics などのアクセス解析ツールでは、サイトを訪問したユーザーの行動は追えます。でも、AIがユーザーに自社ブランドを紹介した件数や、AIの回答で競合が何回言及されたかは、従来のSEOツールでは見えません。
この「見えないブランド露出」を放置すると、「なぜかリードが減ってきた」「競合に問い合わせが流れている気がする」という状況になっても原因を特定しづらくなります。SoM の測定はそのブラインドスポットを照らすための第一歩として機能します。
競合他社がSoM対策を始めている現状
海外のマーケティング業界では、AEO(Answer Engine Optimization)や GEO(Generative Engine Optimization)という概念がすでに広がっています。AIの回答に選ばれるためのコンテンツ最適化への取り組みは、先進的なマーケターの間では標準的な施策になりつつあります。
国内でも一部の企業がこうした測定・改善サイクルを始めており、早く動いたブランドほどAIに学習される情報が積み上がっていきます。「競合がやっているから追いかける」ではなく、今のうちに自社のベースラインを把握しておくことで、対策の優先順位を正しく判断できるようになります。
上司や経営層にAI検索対策の必要性を説明するための根拠として使える
「AI検索対策が必要です」と言っても、数字がなければ動いてもらいにくいのが現実です。AI検索における自社の言及率(シェア・オブ・ボイス)などの指標を測定して「現在、主要な5つのAIエンジンで自社の言及率は〇〇%、競合A社は〇〇%」という数値を示せると、説得力がぐっと増しますよ。
さらに、言及されていないエンジンや、ネガティブな文脈で言及されているケースを示すことで、「だからこの施策が必要です」というロジックが組みやすくなります。AI検索における自社の言及率や競合との比較結果は、社内で予算や工数を確保するための材料としても活用できるでしょう。Share of Model(SoM)の測り方や11エンジン並列測定テンプレートを使えば、こうした数値を効率よく収集・整理できるので、ぜひ取り入れてみてください。
Share of Modelの測定に使う11のAIエンジン一覧

SoM の測定では、できるだけ多くのAIエンジンをカバーすることが重要です。ユーザーがどのAIを使っているかはバラバラなので、主要な11エンジンを横断的に測定することで、より実態に近い数値が得られます。
テキスト生成系AIエンジン(ChatGPT・Gemini・Claudeなど)
テキスト生成系AIは、ユーザーの質問に対して長文の回答を生成するタイプのAIです。SoM 測定で使用する主なエンジンは以下のとおりです。
- ChatGPT(OpenAI):国内外で最も普及している生成AI。GPT-4oを標準で使用。
- Gemini(Google):Googleの検索データとの親和性が高く、情報の網羅性が特徴。
- Claude(Anthropic):長文の文脈理解に優れ、ビジネス用途での利用が増えている。
- Grok(xAI):X(旧Twitter)のリアルタイムデータを参照できる。
これらのエンジンは「推薦リスト」や「比較回答」を生成しやすく、SoM の測定に特に適しています。
AI検索エンジン(Perplexity・Microsoft Copilot・Google AIオーバービューなど)
AI検索エンジンは、Web上の情報をリアルタイムで参照しながら回答を生成するタイプです。引用元URLが表示されることが多く、SoM に加えてトラフィック流入との連動も見やすいのが特徴です。
- Perplexity AI:AI検索エンジンの中でも特に普及が速く、引用リンクが表示される。
- Microsoft Copilot:Bing の検索結果をベースにした回答生成。Office 連携ユーザーが多い。
- Google AI Overview(SGE):Google 検索結果の上部に表示されるAI生成の概要。SEOへの影響が大きい。
- You.com:カスタマイズ可能なAI検索として一定の利用者を持つ。
これらは特に購買前の情報収集フェーズでの影響力が強いため、測定優先度が高いエンジンです。
その他の測定対象エンジン
上記以外にも、利用ユーザー層や用途によって測定を検討したいエンジンがあります。
- Meta AI:Facebook・Instagram・WhatsApp に統合されており、SNS利用者への影響が大きい。
- Bing Chat(Copilot):BingのAI機能として独自のユーザー層を持つ。
- Phind:エンジニア・開発者向けのAI検索で、SaaS やテックツールを扱うブランドに特に関係する。
業界や自社のターゲット層に合わせて測定エンジンの優先順位を調整するのがおすすめです。全11エンジンを一度に追えるよう、後述のテンプレートに列が用意されています。
エンジンごとの特徴と測定時の注意点
各エンジンには回答の傾向に違いがあるため、測定時にはいくつかの点を意識しておきましょう。
- 同一プロンプトでも、エンジンごとに回答の長さ・詳細度が異なる
- ChatGPT や Gemini は同一セッション内で前の質問の文脈を引き継ぐため、毎回新しいチャットを開いて測定する
- Google AI Overview はプロンプトを入力するのではなく検索クエリを使う形式のため、他のエンジンと測定方法が若干異なる
- Web 参照機能のON・OFFで回答内容が変わるエンジンがあるため、設定を統一して測定する
こうした差異を揃えて測定しないと、エンジン間の比較が不公平になってしまうので注意が必要です。
Share of Modelの測り方|基本的な測定の考え方と指標

SoM を正しく測るには、「何を・どうやって・どう数えるか」を事前に決めておくことが大切です。測定の基本的な考え方と、具体的な数値化の方法を見ていきましょう。
測定の基本単位「言及率」とは何か
SoM の基本指標は「言及率」です。言及率とは、測定したプロンプトの総回答数のうち、自社ブランドが言及された回答の割合を指します。
計算式はシンプルで、「自社が言及された回答数 ÷ 総回答数 × 100」です。たとえば、10種類のプロンプトを1つのAIエンジンに投入し、そのうち7つの回答で自社ブランドが登場した場合、言及率は70%になります。
言及率は SoM の中心的な数値ですが、これだけでなく「何番目に言及されたか(言及順位)」「どんな文脈で言及されたか(ポジティブ・ネガティブ)」も合わせて確認することで、より立体的な分析ができます。
ブランド名・製品名・サービス名をどのようにプロンプトに組み込むか
SoM の測定では、自社ブランドの名前をプロンプトに直接入れるのではなく、「ユーザーがAIに聞きそうな質問」を設計してその回答に自社が登場するかを確認します。
プロンプトのパターンとしては、主に3種類あります。
- カテゴリ想起型:「〇〇業界でおすすめの△△ツールを教えて」
- 比較検討型:「〇〇ツールと競合ツールを比べるとどちらがいい?」
- 課題解決型:「〇〇に困っている中小企業が使えるサービスは何がある?」
これらのパターンを複数用意してAIに投げることで、さまざまな文脈での言及率を測定できます。詳しいプロンプト設計の方法は後述のセクションで解説しています。
定量的に数値化するための計算方法
言及率を算出するだけでなく、エンジンをまたいだ総合スコアを出すことで、より実態に近いSoMが把握できます。後述のテンプレートでは、以下のような計算ロジックを採用しています。
- 各エンジンで「言及あり=1点、言及なし=0点」として集計
- 1位言及には加重点(例:+0.5点)を付与
- ポジティブ言及にも加重点(例:+0.3点)を付与
- 合計スコア ÷ 最大獲得可能スコア × 100 = SoM スコア(%)
このような加重スコア方式を使うと、「言及されているが順位が低い」場合と「1番に推薦されている」場合の差を数値に反映できます。
競合と比較するための相対的な指標の出し方
自社の SoM スコア単体では「良いのか悪いのか」が判断しにくいため、競合との比較が欠かせません。競合比較をするときは、同一のプロンプトセットを自社と競合に対して同じエンジンで測定し、それぞれの言及率・スコアを並べます。
比較で特に見るべき指標は以下の3つです。
- 相対言及率:(自社言及数 ÷ 自社+競合の合計言及数)× 100
- 先行言及率:競合より先に(上位で)自社が言及された割合
- 独占言及率:競合が言及されず自社のみが言及された回答の割合
特に「独占言及率」が高いエンジンは、そのAIが自社を強く認識している証拠です。逆に競合にのみ言及されているエンジンを把握すれば、重点的に改善すべき箇所が絞れます。
11エンジン並列測定テンプレートの使い方|ステップバイステップ解説

実際の測定作業は、以下の6ステップで進めます。テンプレートを手元に用意しながら読んでいただくと、流れがつかみやすいはずです。
ステップ1:測定対象キーワードとプロンプトを設計する
まず、自社ブランドが言及されてほしいシーンを想定して、プロンプトを設計します。「自社のターゲット顧客がAIに何を聞くか」を起点に考えると設計しやすいです。
たとえば中小企業向けの会計ソフトを扱っているなら、「中小企業におすすめの会計ソフトは何ですか?」「経理担当者がいない会社でも使いやすい会計ツールを教えて」などが候補になります。1回の測定につき5〜10本のプロンプトを用意するのが目安です。プロンプトは後で使い回せるよう、テンプレートの「プロンプト内容」列に記録しておきましょう。
ステップ2:11エンジンに同一プロンプトを投入する
設計したプロンプトを、測定対象の11エンジンそれぞれに同じ内容で入力します。このとき、必ず「新しいチャット・新しいセッション」を開いてから入力するのがポイントです。前の会話の文脈を引き継いでしまうと、回答内容が変わってしまうことがあります。
また、ChatGPT の場合はウェブ検索機能がオンになっているかどうか、Gemini の場合はモデルのバージョン(Gemini 1.5 Pro など)も統一しておくと、次回以降の測定との比較がしやすくなります。設定条件はテンプレートの備考欄に記録しておきましょう。
ステップ3:各エンジンの回答を記録する
各エンジンの回答が出たら、テンプレートに内容を記録します。回答全文をコピーしてシートに貼り付けておくと、後から言及内容を詳しく分析するときに役立ちます。
スプレッドシートのセルに全文を貼ると見づらくなる場合は、別シートに全文を保存しておき、テンプレートのメインシートには要約だけを記入する方法がおすすめです。スクリーンショットをGoogle Driveに保存して、テンプレートからリンクを張る管理方法も使いやすいです。
ステップ4:言及有無・言及位置・言及内容を分類して集計する
記録した回答をもとに、テンプレートの各列を埋めていきます。
- 言及有無:自社ブランド名が回答に登場したら「○」、登場しなかったら「×」
- 言及順位:回答内で自社が何番目に挙げられたかを数字で記入(「1番目」「3番目」など)
- 言及内容:どのような文脈で言及されたかを50字程度で要約
この分類作業が SoM 分析の核心部分です。単に「言及された・されなかった」だけでなく、「どう言われたか」まで記録することで、改善の方向性が見えてきます。
ステップ5:スコアを集計して自社のSoMスコアを算出する
各エンジンの言及有無・言及順位・評価(ポジティブ・ネガティブ・ニュートラル)が揃ったら、テンプレートの「SoMスコア」自動計算セルが合計点を算出します。
計算ロジックは前述の加重スコア方式に基づいており、エンジン別・プロンプト別のスコアと、全体の総合スコアが自動で出るよう設計されています。この時点で「どのエンジンで自社の露出が弱いか」「どのプロンプトテーマで言及されにくいか」がひと目でわかる状態になります。
ステップ6:競合のSoMと比較して差分を把握する
同じ手順で競合のSoMを測定し、自社と並べて比較します。テンプレートには「競合比較シート」が用意されており、自社と競合2〜3社のスコアをエンジン別・プロンプト別に並べられます。
差分を見るときは「どのエンジンで差が大きいか」「どのプロンプトカテゴリで競合に負けているか」に着目するのが効果的です。差が大きいエンジンやカテゴリを特定できれば、次の改善アクションの優先順位がつけやすくなります。この比較結果が、社内報告や施策立案の出発点になります。
11エンジン並列測定テンプレートの中身と各項目の記入方法

テンプレートは複数の列で構成されており、それぞれに記入ルールがあります。初めて使う方でも迷わないよう、各列の意味と記入のしかたを順番に説明します。
テンプレートの全体構成と列項目の説明
テンプレートはスプレッドシート形式(Google スプレッドシート または Excel)で構成されており、主に以下のシートからなります。
- メイン測定シート:11エンジン × プロンプト数の測定結果を記入するメインの記録場所
- 競合比較シート:自社と競合のSoMスコアを並べて比較する場所
- スコア集計シート:各列の数値を自動集計して SoM スコアを算出する場所
- プロンプト管理シート:使用したプロンプトをカテゴリ別に管理する場所
メイン測定シートの列構成は「エンジン名 / プロンプト内容 / 言及有無 / 言及順位・位置 / 言及内容の要約 / ポジ・ネガ評価 / SoMスコア」です。
「エンジン名」列の記入ルール
エンジン名の列には、測定に使ったAIエンジンの名前を記入します。テンプレートにはあらかじめ11エンジンの名前がプリセットされていますが、新しいエンジンを追加したい場合は行を追加して対応できます。
記入のポイントは、エンジン名だけでなく「使用したバージョンや設定」も備考に残しておくことです。たとえば「ChatGPT(GPT-4o、ウェブ検索オフ)」のように記載しておくと、後から測定条件を再現しやすくなります。
「プロンプト内容」列の記入ルール
プロンプト内容の列には、AIに投入した質問文をそのまま記入します。略さず全文を記入するのが原則です。同じプロンプトを複数エンジンに投入した場合は、各エンジンの行に同じプロンプトを記入します(コピー&ペーストでOK)。
プロンプトが多くなる場合は「プロンプト管理シート」で番号管理(P001、P002…)し、メイン測定シートには番号だけを記入する運用にすると見やすいです。プロンプトの種類(カテゴリ想起型・比較検討型・課題解決型)もタグとして記入しておくと、後の分析で活用しやすくなります。
「言及有無(○/×)」列の記入ルール
AIの回答に自社ブランド名・製品名・サービス名が登場した場合は「○」、登場しなかった場合は「×」を記入します。判定は厳密に行い、正式名称での言及のみカウントします。略称や曖昧な表現(「某SEOツール」など)は言及とみなさないほうが測定精度が上がります。
「ほぼ言及されていたが断言していなかった」という微妙なケースは「△」として記録し、後で別途確認する運用がおすすめです。このセルの値はスコア集計シートの計算に自動で連動します。
「言及順位・位置」列の記入ルール
自社ブランドがAIの回答の中で何番目に登場したかを数字で記入します。「1」と記入すれば最初に言及された(1番手推薦)ことを示し、「3」であれば3番目に紹介されたことを意味します。
回答がリスト形式でなく文章形式の場合は、段落の何番目に出てきたかを記入します。箇条書きの場合はリストの何番目かを記入してください。言及がなかった場合(「×」の行)は空欄にしておきます。順位は加重スコア計算にも使われるため、できる限り正確に記入することを心がけましょう。
「言及内容の要約」列の記入ルール
AIが自社ブランドについてどのように言及したかを、50〜100字程度で要約して記入します。全文ではなく要点を端的にまとめるのがポイントです。
記入例としては「〇〇業界向けのツールとして使いやすさを評価。競合と比べてコスパが良いと紹介された」のような形式が適切です。この列は数値化には直接使いませんが、後から「AIにどう認識されているか」を振り返るときに非常に役立つ情報になります。定性的な改善のヒントもここから見つかることが多いです。
「ポジティブ・ネガティブ・ニュートラル」の評価列の記入ルール
言及内容のトーンを3段階で評価して記入します。
- ポジティブ(P):「おすすめ」「使いやすい」「評価が高い」など好意的な文脈での言及
- ネガティブ(N):「評判が悪い」「コストが高い」「機能が限定的」など否定的な文脈での言及
- ニュートラル(NT):事実の列挙や中立的な紹介にとどまっている言及
言及がなかった行(×の行)はこの列を空欄にします。ポジティブ言及には加重点が付与されるため、単に「言及された数」だけでなくトーンも大切な指標です。
「SoMスコア」の自動計算セルの使い方
SoMスコアの列は、各行の「言及有無」「言及順位」「ポジ・ネガ評価」を自動で拾って点数化する関数が入っています。基本的には手入力不要で、他の列を埋めると自動で算出されます。
スコア集計シートでは、エンジンごとの SoM スコアと、全エンジンを合算した総合 SoM スコアが表示されます。グラフ表示にも対応しており、エンジン別の棒グラフや競合比較のレーダーチャートをそのままレポートに貼り付けられます。スコアが自動更新されるため、測定データを追加するたびに最新の状態が反映されます。
測定プロンプトの設計方法|AIに正しく回答させるための聞き方

SoM の測定精度はプロンプトの質に大きく左右されます。実際にユーザーがAIに投げる質問に近い形で設計することで、より現実に即した測定結果が得られます。
カテゴリ想起型プロンプトとは何か(例:「〇〇業界でおすすめのツールは?」)
カテゴリ想起型プロンプトは、自社が属するカテゴリや業界を提示して、AIに「そのカテゴリで思い浮かぶブランドや製品」を挙げさせる聞き方です。
例:「中小企業向けのSEOツールでおすすめのものを3つ教えてください」「BtoBマーケティングに強いコンサル会社はどこがありますか?」
このタイプは自社のブランド認知がAIにどれだけ根づいているかを測るのに適しており、競合との横並び比較もしやすいのが特徴です。プロンプトを設計するときは、「自社のお客様が実際にAIに聞きそうな言い回し」を意識するとより自然な測定ができます。
比較検討型プロンプトとは何か(例:「〇〇ツールと△△ツールを比べると?」)
比較検討型プロンプトは、自社と競合を名指しで比べさせる聞き方です。「どちらがいいか」「それぞれの強みと弱みは何か」という形で質問します。
例:「〇〇(自社)と△△(競合)のSEOツールを比較したとき、どちらが中小企業に向いていますか?」
このタイプは、AIが自社をどう評価しているかの定性情報が取れるのが強みです。競合より先に自社が言及されるか、自社の強みとしてどんな点が挙がるかを確認することで、AIの中の自社ブランドイメージを把握できます。
課題解決型プロンプトとは何か(例:「〇〇に困っているときに使えるサービスは?」)
課題解決型プロンプトは、ユーザーの悩みや課題を提示して、AIに解決策を提案させる聞き方です。この形式は購買前の情報収集に最も近い質問パターンです。
例:「ホームページへの集客がうまくいかない中小企業が使えるSEOサービスを教えて」「ECサイトのカート離脱率を下げるために有効なツールはありますか?」
ユーザーが実際に困っている状況に近いプロンプトで自社が言及されるかどうかは、購買検討の文脈での存在感を測る指標です。カテゴリ想起型より具体的な状況設定になるため、より絞り込まれた層に刺さる内容かどうかも確認できます。
測定精度を上げるためのプロンプトの言い回しのコツ
プロンプトの言い回しが少し変わるだけで、AIの回答内容は大きく変わることがあります。測定精度を上げるために意識したいポイントをまとめます。
- 「教えて」より「具体的に3つ挙げて」のように回答の形式を指定すると、言及順位が測りやすい
- 「無料で使える」「日本語対応」など絞り込み条件を入れることで、より実態に近いシーンの測定ができる
- 同じ内容でも「敬語バージョン」「カジュアルバージョン」で試すと回答の揺れが確認できる
- プロンプトは1回だけでなく3〜5回繰り返し投入し、回答の安定性も確認する
特に「3〜5回繰り返し投入」は、AIの回答にはランダム性があるため、一度の結果を過信しないためにも有効です。
エンジンごとにプロンプトを微調整すべきケース
基本的には同一プロンプトを全エンジンに投入しますが、エンジンの特性によっては微調整が必要なケースもあります。
- Google AI Overview は検索クエリ形式のため、「〇〇 おすすめ ランキング」のように自然検索に近い表現に変換する
- Perplexity は長文質問より短い質問の方が回答の精度が安定しやすい
- Claude は詳細な状況設定(ペルソナ設定など)を入れると回答の品質が上がりやすい
こうした微調整は「同一条件で測定する」という原則と矛盾するように見えますが、各エンジンの実際の使われ方に即した形で測定するほうが、現実のユーザー体験に近い SoM が測れます。微調整した場合はテンプレートの備考欄に変更内容を記録しておきましょう。
測定結果の読み方と分析のポイント

テンプレートが埋まったら、次は結果をどう読み解くかが肝心です。数字の羅列を「意味のある情報」に変えるための読み方と、社内報告への活かし方を見ていきましょう。
SoMスコアが低いエンジンへの対処の考え方
特定のエンジンで SoM スコアが低い場合、まず「そのエンジンのユーザー層に自社のコンテンツや情報が届いているか」を確認します。
生成AIはWeb上に存在するテキスト情報を学習しているため、自社に関する情報量が少ない・質が低い・古いと言及されにくくなります。スコアが低いエンジンに対しては、以下のような観点で改善策を検討しましょう。
- 自社サービスについての解説記事・事例記事が十分にあるか
- 信頼性の高いメディアや外部サイトで自社が紹介されているか
- 最新情報(プレスリリース・メディア掲載)が公開されているか
スコアが低いからといって即座に焦る必要はなく、「今後の改善基準値」として活用するのが適切な向き合い方です。
言及内容がネガティブだった場合の対応方針
AIがネガティブな文脈で自社を紹介している場合、その元となっている情報源を特定することが先決です。AIは学習データに含まれるレビューサイト・比較メディア・SNSの投稿などを参照しているため、どこでネガティブな評価が発生しているかを調べます。
対応の方向性としては、批判されている点を実際に改善したうえで、改善後の内容を発信する(プレスリリース・ブログ・事例記事)のが基本です。AIの回答を直接コントロールすることはできませんが、Web上のポジティブな情報を増やすことで、徐々にAIの言及内容も変わってきます。
ネガティブ言及が複数エンジンで確認された場合は、速やかに経営層と共有してブランド戦略の見直しにつなげましょう。
競合と比較したときに見るべき3つのポイント
競合との比較では、以下の3点に注目すると分析がしやすいです。
- 総合スコア差:全エンジン・全プロンプトを合算した総合 SoM スコアで、競合との全体的な差を確認する
- エンジン別の強み・弱み:特定のエンジンで競合に大きく劣っていないか、あるいは優っているエンジンはどこかを確認する
- プロンプトカテゴリ別の言及傾向:カテゴリ想起型では競合が優勢でも、課題解決型では自社が優勢というパターンがあれば、ターゲットユーザーの「課題認識フェーズ」での強さを示している
この3つの切り口で分析することで、「どのエンジン×どのシーン」で集中的に改善するかが絞り込めます。
測定結果を社内レポートにまとめる際の構成案
SoM の測定結果を上司や経営層に共有するときは、数字だけでなくビジネス的な意味づけを添えることが重要です。以下の構成がおすすめです。
- 測定目的・背景(なぜSoMを測ったのか)
- 測定条件(使用エンジン数・プロンプト数・測定日)
- 自社の総合SoMスコアと競合比較の要約(グラフ付き)
- エンジン別スコアの詳細(強み・弱みの整理)
- ネガティブ言及の有無と内容
- 改善の優先度と推奨アクション
この構成で報告すれば、「現状把握 → 課題 → アクション」の流れが伝わりやすく、施策の承認を得やすくなります。テンプレートのグラフ機能を活用すれば、資料作成の時間も大幅に短縮できます。
Share of Model測定を継続運用するための仕組みづくり

SoM は1回測定して終わりではなく、継続的に測り続けることで傾向の変化や施策の効果が見えてきます。無理なく続けられる仕組みの作り方を紹介します。
測定頻度はどのくらいが適切か
SoM の測定頻度は、月1回を基本にするのがおすすめです。週1回は作業負荷が高くなりがちで、四半期に1回だと変化の把握が遅れます。月次で測定することで、施策を実施したあとの変化を比較的素早く確認できます。
特に新しいコンテンツを公開した直後や、プレスリリース・メディア掲載があったタイミングでは、通常の月次測定に加えてスポット測定を行うと、その施策が SoM に影響しているかを確認しやすいです。AIのモデルアップデートが行われたタイミングも、測定結果に大きな変動が起きることがあるため、追加測定をするのが安心です。
担当者が変わっても運用できるように標準化するコツ
SoM 測定を組織として続けるには、担当者に依存しない仕組みが欠かせません。標準化のために整えておきたいのは以下の3点です。
- 測定手順書(SOP)の作成:テンプレートの使い方・プロンプトの投入ルール・記録の方法を文書化する
- プロンプト管理シートの整備:使用するプロンプトのセットを固定して、誰が測定しても同じ条件になるようにする
- 測定結果の命名規則の統一:ファイル名や測定回の番号(2024-01, 2024-02…)を決めておき、過去データをすぐに参照できるようにする
最初の1〜2回は少し手間がかかりますが、仕組みを整えれば3回目以降はかなりスムーズに進みます。
測定結果をSEO施策やコンテンツ戦略に連携させる方法
SoM の測定結果は、既存のSEO施策やコンテンツ戦略と連携させることで威力を発揮します。具体的な連携方法としては次のようなものがあります。
- 言及されにくいプロンプトカテゴリ(=AIが自社を知らないシーン)に対応するコンテンツを優先的に制作する
- 競合が高スコアを出しているエンジンで競合がどんな文脈で言及されているかを参考に、自社コンテンツの切り口を見直す
- SEOで上位表示している記事のトピックと SoM で弱いカテゴリを照合し、ギャップを埋めるコンテンツ計画を立てる
SoM はSEOとは独立した指標ですが、土台になる情報資産(コンテンツの質と量)は共通しているため、相乗効果を狙ったコンテンツ戦略が立てやすいです。
Share of Modelを改善するためにできること(測定後の次のアクション)

SoM のスコアが把握できたら、次はどう改善するかです。AIに「選ばれやすいブランド」になるために、今日から取り組めるアクションを紹介します。
AIに言及されやすいコンテンツの特徴
生成AIは学習データを参照して回答を生成しているため、AIに「信頼できる情報源」と判断されやすいコンテンツを作ることが SoM 改善の基本です。
AIに参照・言及されやすいコンテンツには、以下の特徴が見られます。
- 特定のカテゴリや課題に対して明確に答えている(「〇〇とは」「〇〇のやり方」など)
- 具体的なデータ・数字・固有名詞を含んでいる
- 更新頻度が高く、最新情報が反映されている
- 構造化されており(見出し・箇条書き・テーブルなど)、情報が取り出しやすい
- 自社の専門性や経験を示すオリジナルの情報が含まれている
特に「AIが参照したくなる一次情報」——自社調査・事例・独自の知見——は他では手に入らないため、SoM 向上に直結しやすいコンテンツです。
被リンク・引用・メディア掲載がSoMに与える影響
AIモデルの学習データには、権威あるサイトやメディアに掲載された情報が多く含まれています。そのため、信頼性の高いサイトからの被リンクや、業界メディア・ニュースサイトへの掲載は、間接的に SoM の向上に寄与します。
たとえば、業界の大手メディアに自社サービスの紹介記事が掲載されると、そのメディアの情報を参照するAIが自社を「信頼できる選択肢」として認識しやすくなります。プレスリリースの配信、業界イベントへの登壇、専門家としてのコメント提供なども、同様の効果が期待できます。
SEOのための被リンク獲得とSoM向上のための露出拡大は目的が重なる部分が多いため、同時に進めると効率的です。
ブランド認知とSoM向上を同時に狙うコンテンツ戦略の考え方
SoM を高めるためのコンテンツ戦略と、ブランド認知を高めるためのコンテンツ戦略は、大きな部分で重なり合っています。両方を同時に追うためのフレームワークとして、「トピッククラスター × AI最適化」という考え方が有効です。
自社の専門領域を中心に据えたトピッククラスター(核となるページと、それを支援する複数の関連記事で構成される情報まとまり)を作り、各記事をAIが引用しやすい構造・内容に仕上げていきます。
具体的には、「自社の強みが最も発揮されるカテゴリで、ユーザーの悩みに深く答えるコンテンツ」を集中的に制作するのが第一歩です。SoM 測定で「AIが言及しにくいシーン」として判明したトピックを優先的に埋めていくことで、測定→改善→再測定のサイクルが回り始めます。
まとめ

Share of Model(SoM)は、AIが回答を生成するときに自社ブランドがどれだけ言及されているかを示す指標です。ChatGPTやPerplexityなどのAI検索が購買行動に影響を与えつつある今、SoM の把握と改善はWebマーケティングの新しい必須項目になりつつあります。
この記事では、SoM の基本概念から、11エンジンを使った並列測定テンプレートの使い方、プロンプトの設計方法、結果の読み方・分析、継続運用の仕組みづくり、改善アクションまでを一通り解説しました。
まずはテンプレートを活用して、自社のベースラインとなる SoM スコアを測定してみましょう。「今、AIに自社はどう認識されているか」を知ることが、AI時代のブランド戦略の出発点です。
Share of Model(SoM)の測り方|11エンジン並列測定テンプレートについてよくある質問

- SoMを測定するのに専門的なツールは必要ですか?
- 基本的な測定であれば、スプレッドシートと各AIエンジンの無料アカウントだけで始められます。11エンジン並列測定テンプレートも、Google スプレッドシートや Excel で動作するように設計されており、追加のツール購入は不要です。
- 測定に使うAIエンジンの無料プランでも正確に測定できますか?
- 基本的な測定は無料プランでも可能ですが、有料プランのほうが最新モデルを使えるため、精度は上がります。まずは無料プランで試して、継続運用を決めてから有料化を検討するのが現実的な進め方です。
- SoMのスコアは何%以上あれば十分ですか?
- 業界や競合状況によって異なるため、一概に「〇%以上が合格」という基準はありません。まず自社のベースラインを測り、次に競合のスコアと比較することで、自社の相対的な立ち位置を判断してください。
- 測定結果を見て具体的に何を改善すればSoMは上がりますか?
- 最も直接的な改善策は、言及されにくいシーン(プロンプトカテゴリ)に対応したコンテンツを増やすことです。加えて、業界メディアへの掲載・被リンクの獲得・最新情報の発信を続けることで、AIが参照する情報量が増え、徐々に SoM の向上が見込めます。
- SoMはSEOの代替指標ですか?それとも別の指標ですか?
- SoM は SEO を代替するものではなく、補完する指標です。SEOは検索エンジンでの表示順位を最適化する取り組みで、SoM はAIが回答する際の言及率を最適化する取り組みです。それぞれ異なる経路からのブランド露出を測るため、両方を並行して管理することが、AI時代の統合的なWebマーケティングにつながります。

監修者紹介
中村 一浩
代表取締役CEO
株式会社ココログラフ 代表取締役CEO。1982年生まれ。高校卒業後に携帯販売業界にて、インターネットとハードウェアの急速な進化に触れた後、ウェブの面白さに惹かれ、2009年に株式会社ジオコードに入社。SEOを中心にウェブマーケティングを学び、同時にウェブ制作部門、システム開発部門のマネジメントも兼務。幅広いウェブ運用知識を有する。2018年に独立・起業し、検索エンジンだけでなく検索ユーザーにまで最適化する、SEOの上位互換サービスSUOを提供。SEO / SUOの独自レポートツール、サチコレポート開発者。著書『現場のプロが教えるSEOの最新常識』(Amazon: https://amzn.to/4wPgYEK )
■得意領域
ウェブサイト改善 / SEO対策 / コンテンツマーケティング




